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コーチ
高妻先生。いつも先生の書籍を楽しく拝見させていただいています。先生の日本での初期の活動時から、機会がある時には講習会等に参加させていただきました。高妻先生が日本で活動を始められてから、数十年が経つと思いますが、応用スポーツ心理学の日本での発展と、今後の展開についてどのような展望をお持ちでしょうか。ご回答頂ければ、大変嬉しく思います。よろしくお願いいたします。
質問ありがとうございます。
わたしがメンタルトレーニングで会い研究や実践を初めてのが1979年です。約5年のアメリカ留学で、アメリカのオリンピックチームが実践しているものを学び・体験し、国際スポーツ心理学会に、1981年から参加し、1985・1993・1995とその後も現在まで参加し、外国のメンタルトレーニングの状況を見て、愕然としました。日本が気合・根性だと経験的な言葉を使い、選手任せのメンタル面強化(実際は強化になっていない)の現状が、今だにあることは寂しく感じています。

私自身、この40年間で、アメリカだけで100回以上、世界30か国以上を回り、学会や研修会に参加して、海外のメンタルトレーニングを学び・盗み・手本にして、日本で使えるものを試行錯誤して今に至ります。

私もあと2年で定年になり、ようやくここまで来たという思いと、まだまだこの程度かという思いがあります。

2000年にスポーツメンタルトレーニング指導士という日本スポーツ心理学会が認定する資格制度ができ、期待したのですが、海外とは違った形となり、日本式の解釈のメンタルトレーニングで変な方向になっていると感じています。

スポーツメンタルトレーニング指導士は、最低大学院修士課程でスポーツ心理学を学び、研修を受け、単位を取る必要があります。アメリカでは、博士課程を出て最低400時間以上の研修・資格をもって専門家からのスーパーバイズを受けて資格認定がされます。しかし日本では、そのような教育的背景・研修・資格を持った専門家のスーパーバイズ等を受けずに活動をしている「自称専門家」という人たちがタケノコのように出てきました。

このような状況を見ても、日本が外国にどれだけ遅れているかがわかります。世界の歴史的背景を見れば、日本の現状がどれだけ混乱しているかがすぐわかると思います。

過去には、コーチがコーチングの一環としてメンタルトレーニングをする方が良いと思っていましたが、コーチが講習等受けて、また聞きでやったり、いいとこどりをして、ほとんど成果が上がらず、継続できない状に陥ることが確認できましたので、2000年に東海大学体育学部に仕事を移り、今は現場で活動できる専門家育成をしています。つまり、メンタルトレーニングコーチという役割が必要で、その専門家を育成しています。学部から大学院まで6年間で、最低6000時間以上の研修を積ませています。

メンタルトレーニングとは、専門用語で「心理的スキルトレーニング」と言い、スポーツ心理学の研究で実証された心理的スキルを専門家がコーチンし、選手が自分でセルフコントロールできるようになるまでサポートをします。そのために東海大学では、大学と大学院のカリキュラム上、「メンタルトレーニングコーチ」育成をしています。メンタルトレーニングは、コーチングするもので、トレーナーやカウンセラーがやる仕事ではないと考えています。そのため専門家の呼び名からもおかしな名称があったり、内容もなぜそれがメンタルトレーニングなのか疑問に思うものもあれば、自称専門家の自分の経験からのものや選手の自分の経験を話してメンタルトレーニングなどと混乱している日本のスポーツ界が残念です。

もちろん、私たちの力不足ではあるのですが、間違った方向で日本のメンタルトレーニングの方向に向かっていると強く感じています。

国際応用スポーツ心理学会(AASP)では、資格のことを「登録されたメンタルパフォーマンスコンサルタント」と呼ばれ、パフォーマンス心理学のパフォーマンスを向上させることを目的としたサポートをしています。もちろん、臨床スポーツ心理学という分野(スポーツカウンセラー)・研究や教育で活動している専門家もいますが、メンタルトレーニングという言葉を使うのであれば、心理的スキルを毎日コツコツと積み上げるようにトレーニングをさせることが重要です。講習会等で、知識を教えるのでは、「知っているとできるは違う」ということになります。

1994年に、当時近畿大学で日本メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会を、国際メンタルトレーニング学会と国際応用スポーツ心理学会をモデルに立ち上げました。現在は、東海大学では毎週・関東地区では毎月・関西地区では月2回・栃木県・愛知県・北海道では年に5回ほど情報交換の勉強会・研修会を開催しています。

定年までには、北米のように、プロのチームやオリンピックチームに専属のメンタルトレーニングが指導できる専門家が雇われることを夢見ています。


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